ハインリッヒの法則

1 ハインリッヒの法則
  この世界には「ハインリッヒの法則」といわれる「1対29対300の法則」というものがあります。「事故か災害の大きなのが1つあれば、全く同じような危ないことをしていながら、29は小さいけがや事故で終わっているのに対し、実に300回という多くの回数は、同じように危ないことをしていながら、けがや事故などは全く発生していない」いとう法則です。
  作業現場では、安全なようにと一生懸命努力していても、けが人や死亡者がでることもあれば、ほとんど安全については何もしていないのに、不思議とけが人もでないことがままあります。しかし、油断をしてはいけません。つまり、ハインリッヒの「危ないことをしていれば、いつかは大けがをする」という法則のとおり、何の手だてもしないのに不思議にけが人がでないのは、たまたまその現場は300のところにあったわけで、このように危ないことを続けていると、いつかは29の小さいけがが発生し、ついには330回の中で1度やってくる大きな死亡などの災害に突然見舞われる結果になってしまいます。
 船舶でも全く同じことです。
2 ヒヤリハットの教訓
  ヒヤリハットの経験をしたら「アー何も無くてよかった」とホッとするのはよいのですが、全く反省せず、今後そのようなことにならないように検討をしておかないと、そう長くない間隔でまたヒヤリハットや事故に遭遇することになります。特にヒヤリハットを経験するとことの多い人は明日にでも事故に陥るおそれがあるということですから要注意です。
  ヒヤリハットを無くすることが第一です。しかし、いかに注意していても人間には油断とミスは付き物です。また、相手船の方のミスによる危険事態も避けられません。誰にでも多い少ないの差はあれ、ヒヤリハットは発生します。
(1)自分の方のヒヤリハットの原因を検討して、原因があれば、以後そのような原因を発生させないように頭にしっかり叩き込んで置くこと。
(2)相手の方に原因があると思われる場合でも「何だ、あの野郎」などと腹を立ててお終いにしてはいけません。「反面教師」とか「他山の石」という言葉がありますが、相手のそのような行動から、その原因を推測し、自分なら「そのようなミスは絶対にしないぞ!」と、心に刻むこと。
(3)同じ船の乗組員の経験も含めて(1)(2)を全員で話し合えるような船は、ヒヤリハットに遭遇する数も減少し、その結果として大事故はもちろん、小事故の発生も防げること間違いなし。
(4)会社として自社船の「ヒヤリハット」を集め、冊子にまとめ、事故防止に役立てているところもあります。皆さんもいかがですか。

(社)日本海難防止協会「安全運航のいろは」から